鹿児島茶(かごしまちゃ)は、鹿児島県で栽培されているお茶の総称です。
鹿児島県は生産地としての歴史は浅いのですが、桜島の火山灰によってつくられた水はけがよく肥沃な土壌と、寒暖差のある土地の為、お茶を栽培するには最高の条件が揃っており、茶産出額において2019年に全国第1位、茶生産量においては静岡県に次いで全国第2位を誇る九州一のお茶の産地となっています。
かごしま茶は南国の豊富な日射量によるカテキン類(渋味成分)の増加に加え、摘み採る前の茶葉に寒冷紗(かんれいしゃ)と呼ばれる黒い布などを被せ、甘味成分のアミノ酸の増加を促します。そうすることで甘みと渋みの調和のとれた、濃厚でコクのある風味が特長のお茶になるのです。
お茶の産地として有名な静岡茶といえば「やぶきた」の品種がよく知られています。
「やぶきた」と言えば栽培しやすい品種で、安定して高品質のお茶が取れることから、全国的にも人気があります。
しかし逆に「やぶきた」しかない画一性が、お茶全体の魅力をそいでいるとも言われています。
鹿児島では栽培される品種は一般的な「やぶきた」の他、強い香りと旨味の「ゆたかみどり」、まろやかで豊かな甘みの「あさつゆ」など、多くの品種がバランスよく栽培されています。
色・香・味のバリエーションが豊富であることが「かごしま茶」の特徴と言えるでしょう。
かごしま茶は単品種でも美味しいのですが、複数の種類をブレンドすると、味や香りに深みが出てより美味しくなるのが特長です。全国的には茶葉の品種でお茶を選ぶことはあまりできませんが、鹿児島県では緑茶を品種で選ぶという、他の県にはない楽しみ方ができます。品種の組み合わせや配合率は店によって異なるため、茶葉のブレンドは店の腕の見せどころと言えましょう。
知覧における茶の起源としては鎌倉時代に平家の落人たちが山岳地域で栽培をはじめたことがきっかけだと言い伝えられています。
本格的なお茶の栽培が始まったのは、明治元年に島津氏の傍流でこの地を治めていた佐多島津氏から払い下げられた山野を明治5年に村民が開墾したのが始まりだといわれています。
明治時代以降、宇治茶の製法を基本に、お茶の本格的な技術や設備が取り入れられるようになり、生産が増えていきました。大正時代に入ると知覧茶は九州を中心に認知度が高まり、昭和時代に入るとさらに生産量の拡大に力が入れられ、現在のブランド茶の地位を確立しました。
平成19年には頴娃町、川辺町、知覧町が合併し「南九州市」が誕生。
これにより、南九州市は市町村単位で「日本一のお茶生産量を誇る町」となりました。
平成28年度末まで頴娃・知覧・川辺の旧3町の茶業者は、
それぞれが長年独自のブランドで茶業に取り組んできましたが、
これから茶業が繁栄するために、心を一つにして
南九州市の茶銘柄を平成29年4月より「知覧茶」に統一するという
歴史的な第一歩を踏みだしました。
さらに、お茶の安全性や品質管理を行う第三者認証についても
積極的に取り組み、全国の茶業関係者からも大きな期待を寄せられています。
「知覧茶」は、日本一の生産量を誇る鹿児島県南九州市で生産されているブランド緑茶で、多くの鹿児島茶の一部になります。農林水産大臣賞や全国茶品評会日本茶業中央会長賞受賞をはじめ各種賞を度々受賞しており、全国的に高い評価を得ています。
南九州市の土壌は、桜島の火山灰によるシラス台地が元となっています。水はけがよく、ミネラルを豊富にふくんだ土地のため、お茶の栽培に非常に適しています。 また、シラス台地の下には細かく網目のように地下水が張り巡らされ、いたるところから天然の湧き水が出てきます。こうした環境の良さが、美味しい知覧茶を作っているのです。
摘み取る前の2週間前後、茶園を藁や寒冷紗で覆い日光を一定期間遮って育てることで、玉露同様に旨み成分を増量させ、渋味成分を抑えることができます。 直射日光を遮って栽培するため、渋みのもとであるカテキンは通常の煎茶より少なく、旨みの元であるテアニンは多くなります。また、茶葉の色も鮮やかになります。 ほとんどは1週間ほど覆いをしたあと収穫されています。一番茶の栽培方法はこの栽培方法です。
知覧茶の特徴は「深蒸し」と呼ばれる蒸し時間を長くした製法のお茶です。 一般的な煎茶の蒸し時間は30秒〜40秒ですが、知覧茶は主に、約2倍の60秒〜80秒蒸します。 一般的な煎茶の倍近い時間蒸すことで、茶葉の酸化を止めるとともに、生葉が持つ青臭さを抑えるのです。 何段階かに分けて揉みながら乾燥させていくことで、まろやかなコクと旨味がより一層引き立ち、鮮やかな濃緑のお茶になります。
知覧では肥沃な土地を生かし、他産地に比べて多くの品種のお茶を栽培しています。 どの品種も、それぞれの特徴が充分に引き出された風味の良い美味しいお茶に仕上がっています。 これら豊富な品種のお茶を、茶匠がブレンドして仕上げるのが一般的な知覧茶です。 そのため、お茶屋さんによってお茶の味が異なります。
若葉を思わせる上品でさわやかな香りとまろやかなうま味・甘味が特徴です。 渋味や苦味が少ないので、緑茶が苦手な方や、小さなお子さまでも美味しくいただけると思います。 お茶を入れると鮮やかな濃い緑色に出ますので、水出し緑茶にするのもおすすめです。 水出しでも知覧茶特有の香りや甘味・うま味をしっかりと感じることができます。
知覧茶は、「かごしま茶生産履歴開示システム」によって徹底的に管理されています。 生産履歴開示システムでは、どの農薬をどの時期にどれだけ使ったか、生産者の名前や住所、収獲日・出荷日など、細かな情報を生産者がみずから明確に記録し、鹿児島県茶業会議所へ報告します。
新茶とは、その年の最初に収穫された新芽でつくった「一番茶」のことです。 一年のうち、4月末から5月半ば頃の限られたシーズンだけのお茶になります。 (お茶は一年に4回ほど収穫されます。その年の4番目に摘まれたお茶は四番茶と呼ばれます。)
日本茶の収穫や販売の時期は全国的には5月初めからですが、本土最南端、冬が暖かく春の訪れが早い南国鹿児島では、4月前半から「走り新茶」(旬になる前の初物)として流通します。
新茶の特徴は、若葉特有の「爽やかで清々しい香り」にあります。その後に摘み採られる二番茶や三番茶と比べて、苦味・渋味成分であるカテキンやカフェインが少なく、甘みや旨味成分であるテアニンがたっぷり含まれています。
テアニンはハッピーホルモンといわれるセロトニンやドーパミンの分泌を促して、リラックスしたときに現れるアルファ波を長くだしてくれるため、気持ちが落ちついてイライラや不安を抑えてくれる効果も認められています。